(6) 食料品の具体的な取扱い 食料品の基本的な取扱いは上の(5)のとおりですが、一口に食料品といっても、例えば、とうもろこしは人間も食べれば、家畜のえさともなり、また、工業用原料にもなるなど、その範囲を定めるのは容易ではありません。更に、食料品に該当しても軽減税率の対象外とされているものも多くあり、軽減税率に該当する食料品であるかどうかの判断もなかなか難しいようです。 食料品をはじめとする軽減税率の取扱いについては、多くの参考事例が国税当局から示されており、新しい製品を作る時などは、常にこの参考事例とチェックする必要があるが、これも大変面倒な作業であると言っていました。 食料品の具体的な取扱いの例を、参考までに示せば次のとおりです。 @ 菓子類は、基本的には標準税率であるが、ケーキ類とチョコレートでコーティングされていないビスケットは軽減税率である。(イギリス) A チョコレート菓子の取扱いは、複雑である。板チョコ・ボンボンのようなチョコレート菓子は標準税率、ケーキ類はチョコレートを使っていても軽減税率、チョコレートでコーティングされたビスケットは標準税率である。(イギリス) B チョコレート菓子は標準税率の対象であるが、板チョコと一口サイズのチョコレートは軽減税率である。板チョコは家庭で作る料理の材料として使われることが多く、また、一口サイズのチョコは、庶民が口にするものであることから、軽減税率の対象とされている。 また、チョコレート菓子に該当するかどうかの区分は、カカオの含有量によることとし、50%以上のものは標準税率、50%未満のものは軽減税率の対象となっている。(フランス) C お酒やジュースなどの飲料類は、標準税率の対象である。 水については、水道水は軽減税率の対象であるが、瓶やペットボトルに詰めたものは標準税率である。 氷は袋入りでも軽減税率である。(イギリス) D 調味料は、塩、胡椒などは軽減税率であるが、グルタミンソーダなどの化学調味料は標準税率である。(イギリス) E 高級食材というのみでは標準税率とされることはないが、産業政策的に標準税率とされるものがある。(フランス) ○ フランスの三大珍味といわれるキャビア・トリュフ・フォアグラについて、キャビアは標準税率、トリュフとフォアグラは軽減税率の対象とされている。 これはトリュフとフォアグラはフランス国内で生産されるが、キャビアは全量輸入なので、産業政策上の観点から区分されている。 ○ バターは軽減税率の対象であるが、マーガリンは標準税率が適用になる。これは、工業製品であるマーガリンに対し、酪農品であるバターの生産を保護し振興するための産業政策からくるものである。 F レストランなどの飲食店で提供される飲食は、単なる食料品の販売でなくサービスも含まれるため、標準税率が適用される。(イギリス、フランス)
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